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第8回  「趣味が仕事になった感じ」

川口博司

株式会社スターチャイルド

新規事業開発部 ewb制作ディレクター  川口博司さん

大好評企画、音楽×WEBのお仕事インタビュー。今回は様々なメディアを通してビジュアル系アーティストに関する情報発信を手がける株式会社スターチャイルドにお伺いしました。その中でお話を聴いたのは、WEB制作全般に携わる川口さん。一見、非常に落ち着いた印象を受けますが、話を聞いてみるとその体の中には熱い音楽フリークの血が流れているようです。 PCサイトやモバイルサイト、さらにはフリーペーパーなどの社告制作に追われながらも、その合間を見ながら、ライブに顔を出し、家でも音楽を聞き……と大忙しの川口さんの仕事への取り組み方は? 将来の展望は? 貴重なお話が満載です!

取材ではテンションもマックス!~現在の仕事内容~

――現在のお仕事の内容を教えてください。

私たちの会社が運営している「club Zy.」というビジュアル系の総合サイトや、モバイル公式サイト「Poke Shock」における制作や取材を担当しています。ウェブにおける総合的な制作作業ですね。

――インターネットを活用して、ビジュアル系に関する情報を幅広く発信しているんですね。

はい。その他にも私たちの会社では、フリーペーパー「club Zy.MAG」と「Gab」の発行や、「stylish wave」「Shock Edge the LIVE!」などのイベントも行っています。

――具体的にはどういったことを担当していますか?

例えばニュースを更新したり、アーティストの特集ページを作ったり、かなり多岐に渡ります。昨年末の「club Zy.」のリニューアルにも携わりました。ウェブだけでなく、フリーペーパーの社告デザインなどもやっています

――紙とウェブでは、デザインする際に意識は違いますか?

手にとるものと、そうでないものなので、情報の伝わり方が違います。なのでデザインも同じではダメですね。難しさでいうと、僕は紙の方が難しいかな。紙だとA4とかB5とか、決められた大きさの中に入れないといけません。

――取材に行く場合は、記事も書いているんですか?

ライターさんが同行しているので、私は記事は書かずに、ビデオカメラで動画を撮影しています。フリーペーパーの表紙撮影などに同行して、メイキング映像を撮ったり、アーティストさんからのコメントをもらったりしています。

――ファンだったアーティストに取材をすることもありますか?

あります! やっぱりテンションが上がりますね(笑)

つながりの中で生まれていった道。~この仕事を目指すきっかけ~

――今のお仕事に就くまでの経緯を教えてください。

学生時代から音楽が好きで、高校時代にはバンドを組んでギターを弾いていました。その時はhideさんのコピーとかもやっていましたね。そこから大学に入ったんですが、途中で辞めて、東京に出てきました。

――本気で音楽の道を進むために?

そうです。もちろんバイトもしていました。そして、いくつかのバイトを経て、携帯の販売のバイトに就いたんです。当時は着信音も「6和音が登場!」みたい な(笑)時代でしたね。そのバイトをしていた時に、モバイルサイトの作り方に興味がわいて、最初は独学でしたが、いろいろと調べながら簡単なモバイルサイトを作れるようになりました。その後に専門学校に行ったんです。

――それはいくつくらいのことですか?

23〜24歳ですね。作れるようにはなったけど、自分のレベルも分からないし、仕事として通用するのかを確かめたかったというのがありました。専門学校で は主にイラストレーターやフォトショップ、ドリームウィーバーなどのソフトの使い方や、PC向けのサイトの制作を学びました。そして卒業後は、制作会社に 勤めることになり、システムに関して一から学びました。最初に勤めたその会社は徹夜もザラですごくしんどかったんですが、システム面はかなり勉強させても らいましたね。特に当時は、CMS(Content Management System)の出始めの頃でその辺の勉強もたくさんしましたね。

――Movable TypeやWordPressなど、ブログのように簡単に更新ができるシステムですね。

そうです。クライアント側で更新ができるシステムがメインでした。そこから何度か転職をして、今の一つ前の会社で、Virgil(バージル)というビジュ アル系バンドのポスターやグッズなど販促物全般のデザインを担当することになり、ここの会社との付き合いが生まれました。その後、今は休刊になっている 「Zy.」という雑誌の付録を担当することがあって、社長である星子さんと何回か打合せをする関係になり、たまたまその会社を辞めようかと思っている時 に、星子さんから「ご飯でも食べにいかない?」と言われて。そこで会社に誘っていただき、今に至ります。ここに来て半年くらいですね。

何よりも大事なこと。~仕事のやりがい・大変なこと~

――お仕事をする中で大変なのは?

今はパソコンとガラケー、スマートフォンが混在している時期なので、3つのハードに対応しないといけない大変さはありますね。もちろん3つのハードすべて で同じ情報も配信し、かつ、それぞれ別のコンテンツも用意しています。それぞれのユーザーの特徴というのがあるので、使っている人に合わせたコンテンツを 用意しないといけません。そこを見極めるのが難しいですね。特に今はスマホとガラケーが入れ替わっていく時代なので、その移り変わりをきちんと見定めてい かないとダメです。

――3つのハードを使うユーザーの特性とはどう分けられるんですか?

一番分かりやすいのはやはり年齢ですね。ガラケーを使っているのは中学生や高校生がメインです。

――今はクライアントワークではなく、自社サービスですよね? これまでと感覚は違いますか?

やはりエンドユーザーとの距離がすごく近くなりました。なのでユーザー目線で取り組むことが何より大事になります。もともと音楽が好きだったので、それが活かされますね。特にビジュアル系が今でも好きで聴きますし、ライブにも行きます。

――では逆にやりがいとなるのは?

お客さんの反応ですね。直接的にコメントをもらったりすることは少ないんですが、アクセスが伸びたり、プレゼントの応募が多かったり、そういった面での反応です。あとは好きなアーティストに直接会えたりすることもやりがいかもしれません。

――もともと好きだった音楽が、直接的に仕事と結びついているので、すべてがやりがいのように思えます。

そうですね。撮影に同行する時は、今でもドキドキします(笑)。いろんなアーティストのCDが聴けるのも、この仕事の醍醐味ですね。

――音楽好きが集まっていると、職場での人間関係も上手くいきますね。

はい。仕事と別でも音楽の話をよくしますよ。

音楽で疲れたら……~仕事で心がけていること~

――仕事をする上で心がけていることはありますか?

やはり「ユーザーの視点で」という所に尽きますね。お客さんとすごく近い位置にいますので、そこは外せません。企画を考える時も、まず「お客さんが楽しいと思うか」を考えるのが大事。サイトの構造面でも「お客さんにとって使い勝手がいいか」を考えます。

――自分のやりたいことと、お客さんに求められることがぶつかったりしませんか?

ないこともないですが、そこは仕事なので、ちゃんと自分が思っていることなのか、お客さんに向けてやることなのかを見極めないとダメですね。自分が好きな 音楽だから良いっていうわけでもありません。ライブの動員数や記事のアクセス数などから、そのアーティストが持つWEB上での集客力みたいなものが見えて くるので、そういった客観的な数字とも照らし合わせて考えていますね。心の中では「本当はこのアーティストは好きだから、もっと推したいけど」っていうの はありますけど(笑)

――(笑)では、休日やプライベートな状況では、仕事と関係ないフラットな耳で音楽を聴くことはできますか?

僕は意外とできますね。好きな曲は昔と同じように好きですし、自分がどういう曲が好きなのかも、結局変わりませんね。

――ライブにもよく行きますか?

そうですね。多い時だと1ヶ月に6本とか8本とか。仕事で行くことが多いので、毎週末がライブが埋まっていることもよくあります。

――土日もライブだと、どうやってリフレッシュしているんですか?

それもやっぱり自分の好きな曲を聴くことですね(笑)。音楽で疲れたら、音楽で癒してもらう。多分こういう業界にいる人は、みんなそんな感じだと思いますよ。

ライブ会場でもリサーチを。~仕事での必需品~

――仕事での必需品はありますか?

モノではないんですが、この業界において絶対的に必須だと思うのは、人とのつながりです。事務所さんやアーティストさん、そしてファンの方ですね。すべて はつながりの中で成り立っています。だからと言って具体的にやっていることは別段ないんですが、常に大事にしようと心掛けています。

――仕事で知り合った人と、飲みに行ったりすることも?

自分から誘うことはあまりないですけど、お酒は大好きです(笑)。あまり騒いだりはしないので、じっくりと話をしながら、ですね。あとは、この仕事をして いたら誰だって持っていると思いますが、確認用のスマホとガラケー。ガラケーは3キャリア、スマホもiPhoneとアンドロイド機が必須ですよね。

――では、情報の収集法などはありますか?

アーティストのオフィシャルサイトは必ずチェックしています。あとは他のポータルサイトなどです。ツイッターも情報の宝庫ですね。さらにライブの時も、た だ会場に行って音楽を聴くだけではなく、他のお客さんがスマホを使っているのか、ガラケーを使っているのかを確認したりしています。やっぱり始まるまでは 携帯をいじっていますから。

自分が好きじゃないデザインでも……~今後の目標~

――インターネット業界やエンターテインメント業界を目指す人たちに向けたメッセージをお願いします。

やはり、いろいろなものを見ることが大事だと思います。自分が好きなモノだけではなく、ちょっと受け入れにくいものもあると思いますが、それも含めて全部 見ること。例えば自分が好きじゃないデザインがあってもすぐに目を背けるんじゃなく、「ここを変えれば好きになるかも」と考えてみたり。まあ専門学校の時 の先生の受け売りなんですが(笑)、僕もそうやってきました。そういう訓練をしているうちに、何かのサイトを見た時に、自分の中でどこが良くてどこが悪い かをすぐに判断できるようになります。自分の引き出しも増えますね。

――自分の得意分野も分かってきますよね。では川口さんのように、アーティストと直接会える仕事を就くためにはどうすればいいでしょう。

それならプロダクションか、うちのようなメディアに就職するのがいいでしょうね。まあ、何度経験しても緊張しますけどね(笑)。本当に僕の場合は趣味が仕事になっていった感じです。だからどれだけ仕事が大変でもイヤになりません。

――では最後に今後の目標を教えてください。

あらゆることに手をつけていきたいですね! 何でもやっていきたいです。これから何がどう組み合わさるか分かりません。メディアとしてもそうですし、ジャンルもそうです。

――音楽以外に興味があることはありますか?

ん~、あんまりないですね(笑)。やはり音楽を絡めて、様々なものを絡めて発信していきたいです。現在取り組んでいるものとしては、SNSとの連動。フェイスブックやミクシィ、ツイッターなどと、自分が手がけているサイトを絡めて、より多くに発信できるようにしていきたいです。僕自身もまだまだなので、これからも常に勉強していく姿勢を持って臨みたいですね。

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