CD Review

『廻ルシティ』

  • [収録曲]
  • 01. Prologue
  • 02. ジオラマ
  • 03. 2025
  • 04. 顔さえ見えない君を好きになって
  • 05. goodbye hello
  • 06. O.P.I
  • 07. Nancy
  • 08. 蓮
  • 09. ユメノヒトツ
  • 10. Power
  • 11. 廻ルシティ
  • 12. Epilogue

Review

2011年のデビューから、節目の5年目を迎えるSissy。昨年の4月には渋谷公会堂でのワンマン公演も成功させ、 ますます波に乗る彼らが、1年6ヶ月ぶりに放つ3rd アルバムが発売された。架空の都市(シティ)で彼らが出会った様々な光景やストーリーを集めたというコンセプトのもと制作された今作は、表題曲となる珠玉のバラード「廻ルシティ」や昨年ライブ会場限定販売されたシングル「ユメノヒトツ」のアルバムミックスバージョン、今ツアーで発表された「POWER」などを含む全12曲を収録。王道のPOPなチューンに加え、これまでのSissyに比べてバンドサウンドを前面に押し出したロックな曲では力強く、バラードでは持ち前のしっとりと優しい歌声でVo.松田が歌い上げる。また、「Nancy」はダンスミュージック調になっており、ライブでも盛り上がること間違いない。そして、全国ワンマンツアー全5公演開催を発表し、4月4日の"シシーの日"には思い出の地となる渋谷公会堂でのツアーファイナルを控える彼ら。前回果たせなかった「渋谷公会堂を満員にする」というバンドのかねてからの目標を達成すべく、歌唱力はもちろん、演奏技術もまたさらにレベルがあがっている4人の絶対の自信作で今度こそ渋谷公会堂満員の景色を-。

Interview

デビュー以来ずっと、ポップの可能性を追求してきた彼ら。
様々なジャンルのサウンドで描かれた街、“廻ルシティ”に込めた思いをメンバー4人が語る

——アルバムのタイトルが印象的ですが、なぜこのタイトルになったのかを教えてください。

松田:『廻ルシティ』はコンセプトアルバムとして作った一枚で、最初にタイトルをメンバーで話し合って決めたんですね。普段、僕たちはいろいろな場所をライブで廻っていて、そこで出会った方たちの話や、自分たちが経験したことを元に曲を作っているんですよ。今回は僕らが作りあげた架空の街、”廻ルシティ”の中でそれらが一つのストーリーになったアルバムを作りたいと思って、このタイトルにしました。

——普段から先にタイトルを決めて曲を作っているのですか?

松田:いや、割と最後に決めることが多いんですけど、今回は「最初にアルバムタイトルを決めたし、収録曲も先に決めちゃおう」という話になりました。だからこういうのは初めての挑戦ですね。

——アルバムの制作にあたって、意識したことはどんなことでしょうか。

示村:僕たちは今まで「誰が聞いても耳なじみが良い爽やかな楽曲」というのをバンドのコンセプトとして活動してきたんです。でも、このアルバムを作る前の時期には「ポップという概念に縛られている」と感じていたんですよ。なので、自分たちの音楽の幅を広げるために、いろいろなジャンルを取り入れました。

:僕は前のアルバムを作っていたとき、ボーカルの邪魔をしないように気を遣ってギターを弾いていたんですけど、今回は「ボーカルより目立っても良いかな」ってくらいの気持ちで、ギターのフレーズを作りました。バンドマンにもちゃんと聴いてほしいなって思ってます。

松田:僕はESPミュージカルアカデミー ヴォーカルコースの卒業生で、学生時代からずっと自分の歌に自信を持って歌ってきたんです。でも、今回レコーディングをした時に、自分の歌い方と真逆のことを教えてもらったんですよ。それを取り入れたことにより、歌の質感が今までと大きく変わったと思います。前の作品と聴き比べてもらいたいですね。

佐藤:ドラムのフィルイン(曲の変わり目などに、通常のリズムとは異なるアクセントを入れる短いフレーズ)を今までに無いものにしたり、リズムもレゲエ調とか、3拍子にチャレンジしたり、実はかなり苦戦したんですけど……いろいろな人に携わっていただいて、その結果すごくいいアルバムになったと思います。

——今回皆さんは新しいことへの挑戦が多かったようですが「新しいことをしなくちゃ」という考えがあったのですか?

松田:今までのSissyと何か変えないといけないな、というのはずっとメンバー同士で話していましたね。一歩前に進まないと、今まで応援してくれた人も、これから僕たちの音楽を聴くっていう人たちも「応援してくれなくなるんじゃないか」「好きになってくれないんじゃないか」という気持ちがあったので…。だから、よりカッコいいバンドになるために新しいことに挑戦しました。

——ジャケットのデザインも特徴的に感じたのですが、どういった意味が込められているのですか?

佐藤:いくつか案をもらったんですが、メンバー全員がいいねって言ったのが「東海道五十三次」の浮世絵をモチーフにしたものだったんです。五十三次といえば富士山じゃないですか。僕と松田くんの地元が静岡県だから親近感が湧いたんですよ。その富士山にあやかって、「俺たちが日本一を取るぞ!」という感じで決めましたね(笑)

——ジャケットの絵の中には、いろいろな時代を感じさせるものが混在していますが、これは『廻ルシティ』という街をイメージしたのでしょうか?

松田:そうですね。僕らが現代の服装で街の中を歩いていたり、奥に未来都市があったり、和服を着た人が立っていたりして、一つの架空の街になってるんです。これは僕らと同じ年代の方も、もっと若い方も、親の年代も、それよりもっと上の人も、世代に関係なくたくさんの方に聴いてもらえるように、という意味を込めてます。

——アルバムに収録されている「2025」ですが、不思議な曲名だと感じました。どんな意味が込められているのですか?

示村:日々生きていて「時間を無駄に過ごしてるな」って感じていたんですよ。やらなくちゃいけないことがたくさんあるのに、「今日」という限られた時間の中でどれだけできたかな、と考えてできた曲です。”10年後”とか曖昧な言葉を使いたくなかったので、リリースするのが2015年だから、思い切って数字の「2025」にしちゃおう、とこのタイトルになりました。すごくリアルな数字ですよね。実際に10年後に聴いたら、違う印象だと感じるような、ちょっと捻った曲にしたくて。でも実は、こうして数字に疑問を持ってもらうのが僕の狙いなので、今心の中では「ヨッシャー!」って感じです(笑)

——この曲のこの部分が気に入っている、というのを教えてください。

佐藤:僕が推してる曲は「goodbye hello」という曲なんですけど、サビの頭の部分の、”goodbye hello また会おう”という部分がすごく好きですね。先日のライブでも披露したら、ファンの方に「そこの歌詞が好き」って言ってもらえて。だからもう「コレは間違いないわ~」って思ってます。

松田:ものっすごく細かいんですけど……「顔さえ見えない君を好きになって」という曲なんですけど、落ちサビ(曲の終盤で一番盛り上がるサビの前にくる、しっとりとした雰囲気のサビ)の「顔さえ〜」の「え〜」が好きです。

一同:(笑)

松田:ものすごくいい具合に抜いていて……自分で言うのもなんですけど、そこが好きです!

:僕は「Nancy」という曲の自分のギターの音を聴いてほしいなと思ってます。ギターも2本くらいしか入れていないし、シンプルに聴こえるけど、実は少し複雑なことをやっているんですよ。それがレコーディングでできたときにすごく気持ち良かったので、気に入ってます。

示村:僕は「廻ルシティ」という曲の歌詞が好きですね。地方から東京に出てきて「戦っているぞ!」という人ってたくさんいるじゃないですか。静岡から上京してきた松田と佐藤の話を聞いても、彼らは辛い経験のほうが多いんじゃないか、と思うんですよ。でもそんな中でも、希望や幸せを見つけて、「歯を食いしばりながら歩いてます」っていう思いが歌詞に込められているんです。自分で聞いてても、いい歌詞だなって思います。

——夢は武道館ということですが、このアルバムを作り終えて手応えはありますか。

:以前アルバムを作ったときは、業界の方から「聴きやすいね」とか「いいね」とか、曖昧な答えしか返ってこなかったんです。でも今回は「この曲がいい」とか「こういう風に変わったから良いと思ったよ」とか、具体的な言葉をもらえたので一歩進めたと感じたし、収穫になったと思います。だから、これが広まれば夢に近づけるんじゃないかな、という感じです。

——では他のメンバーの皆さんも「手応えあり」ということでよろしいですか?

示村松田佐藤:OKです!

——これからはじまるワンマンツアーへの意気込みを教えてください。

佐藤:ツアーの初日が静岡なんですけど、僕の地元ということだけあって、今までと違う自分たちを見せられるように気合を入れて、精一杯盛り上げる一心でございます!

松田:1年前の渋谷公会堂での公演は、ただ、がむしゃらに勢いだけでやりきった感じだったんです。でも今回はちゃんと、演出とかも含めていろいろなことを4人で考えたので、SOLD OUTを目指して頑張りたいですね。ツアーに向けた企画もESPの皆さんと考えているので、そっちのほうも精一杯やりたいなと思っています。

:ちょっと個人的な話ですけど、以前のワンマンツアーでは「よかったよ」とか「楽しかったよ」という感想はもらってたんです。でも今回は「カッコ良かった」と言われるようなライブになるよう、頑張りたいと思います!

示村:本当に自分達も納得ができる、良いアルバムになったと思うんですね。僕は他のアーティストをチェックするとき、ライブ映像から観るんですよ。ライブが格好よくなければCDの魅力も半減しちゃう、と思っているので。ツアーをするからには各地の皆さんに良いライブを届けて、最後の渋谷公会堂に繋げていきたいと思っております!

Contents

◇廻ルSissy東海道五十三次 ~東京編~◇

Sissy3月20日の正午-----アルバム発売を記念しておこなわれた東海道五十三次。西から東へ廻ってきたSissyメンバーが、ついに東京に帰ってきた。 そこで、今回ツアーファイナルがおこなわれる渋谷公会堂に向けて、 メンバーとアーティストスタッフ科の学生で結成されたteamNancyが集まり、 ライブの告知をするためティッシュ配りを敢行した! そして、そのティッシュ配りの様子をレポートにしたのでご覧ください!

渋谷マークシティからスタート!!

PM 14:00

この日のためにデザインされたティッシュです!!

PM 14:15

先生と予行練習!

PM 14:30

ティッシュ配り開始!

PM 14:45

さすが渋谷、たくさんの人が通ります!

PM 15:00

誠意を持って配ります!

PM 15:30

ファンの方々をパシャリ!

PM 15:35

team Nancyもがんばっています!

PM 15:50

笑顔はかかせません!

PM 16:00

渡された人もにっこりです!

PM 16:15

たくさんの人がもらってくれます!

池袋東武百貨店へ移動!!

PM 16:45

次は池袋東武百貨店!

PM 17:00

この後のライブに向けてしっかりPR!

PM 17:15

やる気バッチリ!!

PM 17:30

たくさんのお客さんが集まってきました!

PM 17:40

ライブも盛り上がりました!

PM 18:00

ライブの後は握手会!

PM 18:05

ニコッ!

ラストも渋谷マークシティ!!

PM 18:40

ふたたび渋谷へ!

PM 18:50

一日中動き回ってもこの笑顔!

PM 19:00

まだまだ配ります。

PM 19:30

ラストスパート!!

池袋東武百貨店ではメンバーの皆さんと写真を撮らせていただきました! 今回協力していただいた、Sissyのメンバーおよびスタッフの
皆さん、そしてteamNancyのメンバーに感謝したいと思います。本当にありがとうございました!

Live Report

---廻りつづけるSissy、2度目の渋谷公会堂---
メイン画像

「今日が1番楽しくなきゃいけない日、最後まで廻っていきましょう!」
4月4日―――この日はSissyにとっても、ファンにとっても特別な1日。なぜなら、バンド名とかけて、4月4日は記念すべき、“シシー(44)の日” だからである。
今年2月にメジャー3ndアルバムとなる最新作『廻ルシティ』をリリースしたSissy。 ツアーファイナルに向けて、東海道五十三次をモチーフにした企画がおこなわれ、西から東へ、メンバーが各地を廻り、ゴールとなるこの渋谷公会堂へ辿り着いたのだ。

ステージが暗転してSEが鳴り響く。メンバーが登場すると会場から大きな歓声が溢れ出し、1曲目の「ジオラマ」がスタート。松田(Vo)の「渋谷! 元気かぁー! みんなの素敵な声を聞かせてくれ!!」の煽りから、フロアを一気に沸かせていく。

次の「Ready Go!」では、オーディエンスが拳を突き上げ、「Passion!!」では、タオルを回し、立てつづけに彼らのキラーチューンをぶつけていく。つづく「ずっと」では、松田が「今の自分と5年前の自分を比べてどうですか?」とオーディエンスに問いかけ、結成してからの、バンドに対する想いや、自分自身への葛藤を伝えた。

ライブも中盤に差しかかった頃、「蓮」をアコースティックギター1本で弾き語りをした松田がギターを置き、マイクを手に取る。「今回のアルバムは今までで、いちばん素直に作ることができました。先の不安に対して、確かな答えは見つからないけど、素直に音楽を楽しみ、自分の素直な言葉や音で、音楽を届ける。俺はこれまで気を遣いながら生きてきたけど、今回のツアーで、もっと自分らしく、もっと自分を出して歌わなきゃと思いました。次にやる曲はそんな俺自身の曲です」と心の声を届けながら、披露したナンバーはアルバムの表題曲でもある「廻ルシティ」。これまでの曲の雰囲気とは異なるストリングスが印象的なバラードで、4人がそれぞれの気持ちを1つにして演奏している姿があった。

しっとりとした空気から一転、松田が「ここから盛り上がって行きましょう!」と手拍子を煽り、ボイスエフェクトをかけたラップ調のメロディが特徴的な「O.P.I」が始まる。そこから立て続けに、激しいシンセサウンドにスラップベースの効いたダンサブルなナンバーで、渋公を揺らした「Nancy」。楽器隊のソロリレーで大きな歓声が響き渡った「マイケル」。アップテンポなクラップを起こした「POWER」……。 盛り上がるナンバーを連続披露したところで、数曲の間、ハンドマイクでパフォーマンスしてきた松田が、再びギターを抱える。「改めまして、今日は来てくれてありがとうございます! 楽しかったですか? 次で最後の曲です」と語り、「goodbye hello」を演奏して本編が終了。

すぐにアンコールが始まり、観客の「Ready Go!」の大合唱が会場に響く。さらにファンが用意した黄色の蛍光バンドがキレイに会場を包み込み、幻想的な世界が映し出される。メンバーが再びステージに帰ってくると、黄色に染まった客席を見まわし感激する姿があった。

アンコールでは、「ユメノヒトツ」を披露したあと、松田が「自分たちは、もっと色んな人に曲を届けたいと思っています。俺たちは歌い続けるから、また会おう!」と力強いメッセージを残し、最後に「また明日」を会場全員で歌う。4人が楽器を置いて、手を繋ぎながらステージの中央に立ち、深々と頭を下げると、会場からはこの日1番の拍手が送られる。

彼らの「夢」や「想い」は、きっと今後もたくさんの人々の心を捉えていくであろうと感じさせる、4月4日、シシーの日であった。

(ライティング:熊谷・中嶋 コーディング:中嶋 撮影:矢富)

関連リンク

Sissy - Official Website

渋谷公会堂ワンマンライブ!「ユメノヒトツ」

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