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SUMMERSONIC2012 ライブレポート 8/18~8/19

summersonic2012

~揺れる幕張の空~ SUMMERSONIC2012 1日目

2012年8月18日。千葉県幕張で、日本最大級の夏フェス、SUMMER SONIC2012が、今年も2日間にわたって開催された。

会場写真

当日はかなりの悪天候に見舞われ、開催が心配されるほどの雷雨。正直、この天候で例年通りの盛り上がりを目にすることができるか不安だった。しかし、会場に入るとその不安は見事に覆される。入場パスの交換所には、観客が次々に押し寄せ、まさに人の波ができていた。入場してすぐに、このイベントの盛り上がりを確信させられることとなる。 そして、開演時間が近くなり、メインステージの1番手ワンオクロックへと向かう。

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メインステージに入ると、すでにアリーナは人で埋まっていた。昨年、横浜アリーナでのコンサートを成功させた彼らである。それだけ人気なのは当然だろう。実際、圧倒的なそのステージングは見る者を引き込む。あまりの迫力に瞬きする事もできない。アリーナクラスの大きさを誇るメインステージでさえも、縦横無人に動き回る4人には狭そうであった。もちろんステージングだけではない。魂から解き放たれたかのような力強い歌と、重厚なバックサウンドが観客をさらに沸かす。彼らの最後の曲が終わると、割れんばかりの歓声が起こった。こうして、メインステージ最初のバンドが終わり、最高のスタートダッシュを切ることとなる。

次は日本だけではなく、世界からも評価されているきゃりーぱみゅぱみゅへと急いで向かう。期待を込めて会場へ向かっていたが、ステージへ着くとすでに終了していた。そう、間に合わなかったのだ。非常に残念だが、これも夏フェスならではの醍醐味と言ったところだろうか。

時間も空いたので、ここで昼食をとったのだが、これもまたフェスらしい。ご当地の名物が続々とならび、様々なグルメが食欲をかきたてる。席の近くには、小さなステージがあり、そこでお笑い芸人のライブを見るとこができた。

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昼食も終え、レインボーステージのマン・ウィズ・ア・ミッションへと足を運ぶ。会場へ着くとそこには踊りに踊る観客たち。ステージに立つ彼らはオオカミのお面を被り、会場が煮えたつようなライブを見せてくれる。漏れ聞こえる音で会場外でも踊る人がいるほど。それだけ、話題性があり今まさに波に乗っているバンドだ。ステージが終わり、会場を出ようとすると、一気に人が外へ流れ出る。その観客たちはほとんど汗だくである。その汗がどれだけ熱いライブをしていたか、物語っていた。

続いて、ソニックステージのグライムスへと向かう。このグライムスは、全世界で注目されており、今回期待されているアーティストの1人だ。そして、彼女の期待のステージが始まる。スタートすると、人がみるみるうちに増え、ソニックステージを埋めていった。とてもキュートなルックスをしているのだが、彼女の楽曲はそれに相反し、カオスである。しかし、そのカオスの中に彼女の透き通る歌声が聞こえると、雲間から光が差し込むような感覚におそわれる。独特の世界観が構築されており、会場の観客を引き込んでいく。ステージではシャボン玉が飛び、それが照明と重なりキラキラと光ることで、幻想的な空間が生まれた。

そんな彼女の余韻に浸りながら、次のナッシングス・カーブド・インストアへと向かう。このバンドはエルレガーデンのギター、生形真一とストレイテナーのベース、日向秀和が在籍している。会場に到着し、彼らのステージを見ると、驚愕する。グルーブがグルーブを生むような楽曲に、それぞれの個性が1つ1つきらめいているようだ。さらに、ボーカルの爽やかな歌声が、夏の暑さをやわらげていく。だが、それとは反比例して、会場の観客のボルテージは冷めることなく、圧巻のステージを終えた。

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その後、会場はメインのマリンステージに移る。マリンステージに向かう途中、あまりの暑さに上半身の服を脱ぐ人も少なくなかった。そして、ロストプロフェッツの登場だ。スタート直後、人の波が押し寄せ、序盤からサークルモッシュが起こる。ボーカルの煽りで観客がジャンプすると、マリンスタジアムが揺れ、会場の一体感を体で感じることができた。パワフルで爆発するようなバックサウンドと、ボーカルの天にまで届くような歌声が、幕張の空を揺らす。終盤となると、小雨が降り始めたが、それをものともせず、大満足のステージを終える。ボーカルは自ら、会場の様子をステージからカメラに収めていた。

そんな彼らが終え、マリンステージでは、そのまま「吉井和哉」が始まる。 ステージに登場すると、観客がどんどん増えていくのだが、その増え方が普通ではなかった。 あっと言う間に、アリーナは人でいっぱいになり、彼の歌声に酔いしれていく。途中、かなりの雨が降るが、観客はそれでも増えていく。空を見上げながら歌う気持ちの入ったステージと、歌唱力は聞き惚れてしまうほど。

男性とは思えないほどの、妖艶なステージを記憶に残し、マウンテンステージのデス・キャブ・フォー・キューティーへと向かう。外では日も落ち始め、しとしと雨が降る中、彼らのステージは始まった。ボーカルのソロパートから歌いだし、会場全体をワクワクさせるような始まり方に思わず頬が緩んでしまう。観客は体を揺らしながら、思うままに楽しんでいるようだった。楽曲のキメと照明がシンクロして、彼らを引き立てる。しっとりとしながら繊細で、まさに潤うような楽曲だ。それぞれメンバーが発する空気感が秀逸で、思わず見とれてしまうステージであった。SUMMERSONICもいよいよ終盤。

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次はザ ・ハイエイタス。このバンドは「エルレガーデン」のボーカル、細美武士に「トー」のドラムスでもあり、様々なビッグアーティストのバックを務める、柏倉隆史、さらには元ミッシェル・ガン・エレファントのベース、ウエノコウジが在籍している。彼らのステージが始まると、大きな歓声が響き渡る。否が応でも聞き入ってしまうボーカル、細美の歌唱力。一音一音がこぼれ落ちるような、静と動が入り混じる緩急のあるステージは、世界観を押し付けるのではなく、優しく語るような感覚であった。壮大であり、それぞれがとても楽しそうに演奏する。それは、ライブハウスで見るようなライブ近いものを感じた。実は、同じ時間帯にメインステージで今回の目玉アーティストである「グリーンデイ」が演奏していたのである。それでもこれだけの動員をしていることに驚かされ、と同時に言葉を失うほど納得させられた。そして、彼らのステージを噛み締めながら、いよいよメインステージのグリーンデイ。あれだけ広いマリンスタジアムが2階席まで人で溢れ返っていた。

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そんな彼らのステージは、非常にエンターテイメント性があり、飽きることがない。会場では、大合唱に次ぐ大合唱があり、途中ザ ・ビートルズの「ヘイ・ジュード」を観客と一体になり歌う場面も見られた。そんな彼らのステージも最高の雰囲気で終わりを迎えた。しかし、もちろん、これで終わりではない。アンコールを受けた彼らは、「アメリカン・イディオット」などのキラーチューンを次々に披露し、ボルテージがとどまることはなかった。あまりの感動に、目頭を熱くしながら、彼らの姿を目に焼き付けた。そして、終幕。ステージが終わっても歓声が鳴り止むことはなかった。いくつもの伝説を作ってきた彼らは、またひとつ、伝説を築き上げたのだ。 フィナーレでは花火が上がり、1日目の有終の美を飾る。悪天候ながらも、最高のステージを見せてくれたアーティスト。彼らに対して、“感謝”という言葉が一番合うのかもしれない。それぞれが、それぞれのステージで夢を見せてくれた。その夢を持ち帰った観客の感動が翌日の2日目へとバトンを繋ぐ。

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~さらば愛しき幕張~ SUMMERSONIC2012 2日目

前日の嵐のような天気とはうってかわって、本日19日は晴天! 夏フェスに相応しい天気となった。

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オープニングは屋内のソニックステージでホワイト・アッシュ。彼らのライブを観たのは初めてだったが音源を聴いた限り、かなり期待できるアーティストの1つだ。オンタイムでライブがスタート。ディープなメロディーで進行していく。朝から随分と濃厚である。ボーカルは日本人だが英語の発音が良く、外国人のオーディエンスもノリノリであった。途中のMCでオーディエンスに「サマーソニック!!」と叫ばせ、2012年、夏の1ページが始まろうとしている。メンバーは一見、ごく普通の男女。しかし、楽器を持たせるとエロくセクシーに見えてしまう。これが彼らの魅力なのだろうか……。

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バスでマリンステージへ移動し、次はヴィンテージ・トラブル。彼らはハリウッドで結成しイギリスで大ブレイクした新人で、日本ではデビュー前だというのにこのステージに立ってしまうほどの期待と人気ぶりだ。パワフルな1曲目を歌い終わると「I can’t hear you!!(声が聞こえないぞ!) 」とオーディエンスを煽り、「オハヨウゴザイマス! We’re Vintage Trouble!」と日本語を交えながら軽快に挨拶。“曲調は古き良き…”と紹介されていたが、ボーカルの声量がすごく、ソウルとブルースをパワフルな歌声で真正面からぶつけられるような、エネルギー溢れるものであった。

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次に、イーエスピー学園出身、小貫諒をみるためにガーデンステージへ向かう。ここは、メイン会場から少し離れていて、海が見渡せ、奥には緑が茂る林まであり、“隠れ家”という言葉がぴったりだ。設置されているハンモックで休憩していると、アコースティックギターの爽やかな音色と優しい声が広場に響き渡った。つられるようにしてステージへ向かう。ギターとパーカッションだけのシンプルな構成が、より一層、彼の甘い歌声を引き立てる。日差しが強かったが、彼の歌が涼しい風を運んできてくれた。

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マリンステージにもどる途中、人ごみを発見。なにかと思い近づくとマイケル・ジャクソンの格好をした人が、名曲「ビリー・ジーン」のサウンドでダンスを始めた。ゲリラライブにまさかの遭遇。見ているうちに、周りにいた人も続々と踊り始めていき、自然と体がつられて動いてしまった。

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中に入るとアリーナ席はほぼ満員。しかし、入場しようとするお客さんの流れは増すばかりである。そう、次のアーティストはパフューム。前日の大阪公園が、悪天候のため中止になってしまい、今日にかける彼女らの思いは強いはずだ。3曲目でポリリズムのイントロがながれると同時に会場が沸き、スタジアムが揺れた。数曲が過ぎたころから、どしゃぶりの雨が降ってきたが、熱は一向に冷めない。

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ビーチステージへ移動中も雨は止まず、近くのテントで雨宿りをしつつ、次に控えるペイ・マネー・トゥー・マイ・ペインを待っていた。ここは浜辺にステージが設置されていて、隣には大海原が広がっている。予定より20分ほど遅れてスタートした。いきなりヘビーなサウンドをかきならして彼らが登場。事前に聞いてきた曲はどれもおとなしめだったので、そのギャップに圧倒された。時間の関係上、おしみつつも次のフーバスタンクへと移動することとなった。

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マウンテンステージは、この会場の屋内エリアで一番広く、音の響き方も特に良い。正統派アメリカロックを直に聞くことが出来た。残り2アーティストがどちらもマリンステージだったので、決戦に向けて移動。

トリ前のアーティストはジャミロクワイだ。前日の大阪公演を体調不良で急遽キャンセルをしていたため、当日、不安でしかたなかった。2階の観客席で待っていたところ、全体の司会があらわれ、「10分短縮しますが、決行します」とアナウンス。会場から歓喜の声があがる。準備に時間がかかったが、遂にその時がやってきた。緑の衣装をきた、ボーカルのジェイ・ケイが軽快なステップで舞台に登場した途端、オーディエンスの盛り上がりは最高潮。これが世界のレベルかと思わせるパフォーマンスをまじまじとみせつけられ、MCで「ありがとう」と言った時に、「こちらこそ、日本に来てくれてありがとう」と心からそう思った。夕日が沈み、ヒットソングパレードの幕開け。完全に、このビックイベントが彼のものになってしまった。ステージを降り、アリーナにいるお客さんとハイタッチするサービスも見せるなど、やはり大物は違う。しかし、その幻想的なショーも終演をむかえることとなる。

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サマーソニック2012の大トリ、リアーナ。両サイドに大きなファラオ象が2つ、中央にはスフィンクスの象が置かれるなど、舞台演出が他のアーティストとは比べ物にならないくらい豪華であった。ダンサーが位置につくと、スフィンクスの中から突如、リアーナが登場。一日中動き回ったお客さんも息を吹き返すように湧き上がる。曲が進むにつれて、上でみていた人がどんどん下へ下へと流れていく。さすが、24歳にしてアメリカのトップで活躍するほどの実力だ。今のアメリカンポップを生で体感し、鳥肌が立った。そして、ラストの曲、「We found love f.t Calvin Harris」。スタジアムが壊れるかと思うくらいの盛り上がりを見せ、ラストのサビと重なるように花火が打ち上げられ、2日目の夜を盛大に締めくくった。8月18日、19日と2日間に渡って行われた、日本最大級の夏フェス。悪天候でスケジュール通りにはいかなかったものの、今年もたくさんの感動と興奮を与えてくれた。フェスならではの開放感で、だれもが日ごろのストレスを発散できたのではないだろうか。2012年も残こすところ、あと4ヶ月。これで得た元気で明日からがんばろう!

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